ムニマのおむつ離れ

おむつのとれねえ大学院生が、お絵描きしたり、おしゃべりします

キミならどっち?「Let`s GO アオカビ」「Let`s GO ケカビ」!

 今回はうちの実験センターで出している一般向けの読み物のコラムを書かせて頂いたので、内容そのままここにも置いておこうっていう記事です。うちの研究室に入って最初に行う課題をざっと紹介してるので少しでもうちの雰囲気を感じていただければ幸いです。

 

 本コラムでは本研究室の新入生が毎年行う伝統の課題「30属」をご紹介します。この30属という課題はズバリ!カビ版ポケモンGOです!カビというのは身近なものではミカンや食パンが腐ると生えるアオカビをイメージしてくだされば結構です。そんな身の回りのカビを捕まえて単離(1つの寒天培地に1種類が生えている状態に)し、同定(何のカビか?を特定)してスケッチする、というのが本課題です。見つけてゲットして図鑑で調べて仲良く(?)なる。ロマンの塊ですね!こうしてゲットするカビが30属*1に到達すると課題達成となり、カビを正しく扱える人として認めてもらえるようになるのです。

 

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写真1:研究室の様子。積みあがったサンプルの数はピーク時に400を超えました。

 

 さて、具体的な見つけかたですが、歴代の学生が様々な方法を試してきました。土を拾ってきて寒天培地にまく人、動物のフンを拾って湿らせて、そこから出るカビを採る人、食品を手あたり次第腐らせた先輩もいたそうです(本研究室は潔癖症の方を卒倒させる環境かもしれませんね)。土を耳かきで1すくいした量から、7属前後のカビがホイホイ生えてきます。なんだ、30属なんてすぐじゃないかと油断してはなりません。同じ属のカビを以降何度も目にすることになるのです。しかも頻出するカビは成長速度が非常に早く、他の珍しいカビを覆って見えなくしてしまいます。故にこの課題は、いかにメジャーな菌との遭遇を回避して、珍しい菌と出会えるか、の勝負であると言えます。僕の好きだった手法は昆虫を培地の上に歩かせるというもので、昆虫の体表に付着する菌が採れやすいという特徴がありました。課題は3カ月にわたって行われましたが、その期間に出会った昆虫は根こそぎ捕まえていた記憶があります。

 貴方のすぐそばにいる菌の多様さ、そして多様な菌を見つけるために道端のフンを拾ったり虫を追ったりと夏休みの悪ガキみたいな日々を過ごす学生たちに思いをはせて頂けたら幸いです。 

 

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写真2:Pestalotiopsis属の1種の分生子。3本の毛が昆虫の脚に付着する役目を担っているのかもしれませんね。

*1:属:種の1つ上の分類群。例えばツキノワグマ、ヒグマ、ホッキョクグマのような各種はクマ属という1属に分類されます。身近に同じ属で異なる種がわんさかいる菌類がいかに多様かわかりますね。

もや〇もんに喧嘩を売りました

今回は菌類をモデルとしたマスコットキャラクターをデザインしたお話をしようかと思います!…と言うと、たいそうな仕事をしたような口ぶりですが、実際はイベント直前に依頼され死に物狂いで書き上げた即興モンスターたちですので、「変なもん描いてらぁ」って感じで笑っていただければ幸いです。

 

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全員集合!

 

 

1、マスコット作成を依頼された経緯

 きっかけは僕の所属する菌の研究室が発酵サミットと呼ばれる発酵食品のお祭りへの参加を決めたことでした。そこで一般向けに発酵に関係するカビの観察イベントを開催することとなり、ブースを少しでも親しみやすくするための飾りつけを教授に頼まれた次第です。僕は卒研中間発表のころから「ヤマトシロアリのやまちゃん」なるキャラクターを多用したパワポを作成しており、そんなイタい趣味を露呈している学生に気を遣ってくれた先生から

「ムニマ先生!また一つ、かわいいキャラクターお願いしますよ~~!」

とおだてられ、秒で依頼を引き受けたのでした。

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ヤマトシロアリのやまちゃん。シロアリの話はまた別の機会に!

 

2、コンセプト

 菌類をモチーフにキャラクターを作るうえで何が最も大きな障壁となるか…。題名を見た瞬間にピンときた方もおられるでしょう。

 そう!菌漫画(こんなジャンルある?)の権威、「もやし〇ん」の石川〇之大先生と同じ土俵で戦うということになるのです…!

 そんな大人気漫画家 vs ぽっと出の卒研生の私。こちらの武器は菌を実際に野外から見つけ、培養し、同定(図鑑などで菌の種類を特定した)したという経験のみ(石川さんもやっているのかもしれませんが汗)。故に差別化を図るべく見つけ出したコンセプトは「菌ありのままの可愛さを伝える!」とました。その具体策として用いた手法は2つです。

 

1、キャラのデザインをメルヘン妖精に統一

2、形態的特徴を強調する

 

まず1のメルヘンについて。数年顕微鏡をのぞいてきた身として、菌の可愛さはミクロな世界にあるメルヘンな雰囲気にあると感じていました。

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私がスケッチした菌たちの例。この話もいつかちゃんと書きたいですね。

どうでしょう?日常生活では見慣れない、しかしどこか均衡のとれたデザインの数々。この不思議の国に迷い込んだような雰囲気が菌の可愛さだと思うんですよね。

そんなメルヘンチックな雰囲気を出せるようにキャラクターは皆妖精チックなデザインに統一し、シンプルかつなるべく元の面影(シルエット等)を残しました。

 

次に2の形態的特徴について。形態的特徴とは、菌がその菌の仲間だということを特徴づける見た目上の特徴です。例としてヒト種と他の類人猿の見た目上の違いを考えてみましょう。脳の発達により頭が非常に大きいですね。また直立歩行のために背骨が独特なS字型をしています。それ以外にも細かいところを挙げれば毛が少ないだの親指の位置が違うだのたくさんの外見的な特徴から「あなたはヒト種だね!」と判断できるわけです。このような特徴が菌類にもあり、できるだけその特徴を強調してキャラクターを作ろうと考えたわけです。宇宙人に「君らヒト種をモチーフとしたキャラクターを作ったよ!」と言われて猿と区別のつかないものを見せられたら悲しくなりませんか?そんな悲しみを菌たちに味わせたくなかったのです。

 

…少々説明が長くなってしまいましたが、ここからは各キャラクターの紹介をしていきますね!

 

3、各キャラクター紹介

各キャラのモデルとその特徴、こだわった点を紹介しますね。

モデル:Aspergillus sp.(アスペルギルス) \ 命名:アスペル

 

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日本の発酵の立役者、アスペルギルス氏です!この仲間には味噌や麹(日本の)、日本酒や甘酒を作るAspergillus oryzae. (和名:日本コウジカビ)や、醤油を作るもの(Aspergillus sojae.)、鰹節の熟成に利用されるもの(Aspergillus chevalieri.)がおり、まさに日本の発酵を代表する菌です!

  特にAspergillus oryzae.は「A.オリゼー」の名で、某人気漫画「もや〇もん」に登場し、一躍人気者になった背景を持ちます。

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スケッチに慣れていない頃のもので、あまりいいスケッチではないですが参考までにAspergillus sp. 

この菌の形態的な特徴としては1本の分生子柄(分生子/分生子形成細胞がその上に作られる柄)の頭にボウリングのピンのような構造がたくさん!「アスペル」の指部分に表現したのがこの構造で、ピンの先端は分生子(無性生殖で作られる胞子。この一つの細胞からまたこいつが生えてくる!)ピンの根元は分生子形成細胞(分生子を作る細胞)です。「アスペル」の手はそんな分生子形成様式を表現しました。そして実際にはこの構造が1つの分生子柄の頭にウワーーッ!ってくらいたくさん生えていてブロッコリーみたいにフッサフサして見えます。

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Aspergillus sp.のプレパラート*1を作り光学顕微鏡で観察した際の写真。ウワーーーッ!!

このふさふさを「アスペル」の頭で表現したという感じで、要するに手も頭も同じ構造を視点の細かさを変えて表現しています。

モデル:Penicillium sp.(ペニシリウム) \ 命名:ペニー

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 この菌はブルーチーズ作りに用いられるPenicillium roqueforti. やカマンベールに用いられるPenicillium chamenberti. (カマンベルティ、まんまですね)が代表に挙げられ、チーズを作るカビですね。

 ただ、この仲間はもっと身近に存在します。パンやミカンを腐らせた際に青カビが生えた経験はありませんか?このアオカビは基本このペニシリウムの仲間なのです。

 この菌の形態的特徴としては分生子を作る細胞(分生子形成細胞)が1本の菌糸から分岐して箒状に広がり、その先端に連鎖して分生子をポポポポッと作るところにあります。感性の豊かなお子さんなんかは「ガイコツの手だ!!」なんてはしゃいでくれましたね。そのイメージをそのまま流用したのが「ペニー」の手となっています。

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Penicillium sp.を青色で染色し、光学顕微鏡で観察した際の写真。ガイコツの手だッ!

 また実際に生えている様子を虫眼鏡で観察すると、連鎖した分生子の数珠が何本も絡み合ってヒョロヒョロ~っと天へ向かって伸びているように見えます。このイメージを「ペニー」の頭に適用しました。

 最後に、この菌はミカンやパンにバンバン生えることからわかるように非常にメジャーな菌で、菌研生から恐れられています。というのも違う菌を育てようと餌(培地)を用意していたらこいつが生えてくるなんてことがしばしば。そんな神出鬼没さをゴーストチックなデザインに託し、ヒョロヒョロな雰囲気と分生子形成様式も盛り込めた「ペニー」は一番のお気に入りです。

モデル:Botrytis sp.(ボトリティス) \ 命名:ボトボト

 

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 身近な例だとイチゴが腐った際にワサーっと生える灰色のカビは基本こいつです。果物や野菜に灰色カビ病を起こす病原菌としても知られます。発酵としては貴腐ワインの生産に用いられ、この菌が生えたブドウは水分が抜けて糖分が高くなってワインが芳醇な香りと濃厚さを持つようになるんだとか。

 名前はムー〇ン谷に生息する謎生物から。

モデル:Mucor sp.(ムコール) \ 命名:ケカビン

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 早く育って早く死ぬ!ニョーンと1本伸びて先端に丸一つボン!待ち針みたいな見た目をしており、コロニー(菌の集まり)は待ち針の刺さった針山みたいになります。この先端の丸ボン!は袋になっており、袋の中に胞子嚢胞子(分生子同様、植物の種のように植えると新しい個体が育つ細胞)をこれでもかを蓄えています。この菌は見た目が非常にわかりやすくてかわいいのでお子さんにも大人気!「ケカビン」もそんな可愛さとニョーンと伸びたスケール感を表現できたかなと思います。

 発酵食品としては中国の腐乳、臭豆腐(豆腐にケカビを生やしたもの)などが挙げられます。日本は発酵といえばコウジカビ(アスペルギルス)ですが、中国ならケカビ、北欧ではペニシリウム~のように国で発酵に使うメジャーな菌が異なるのは面白いですね。

モデル:Rhizopus sp.(リゾパス) \ 命名:リゾパスン

 

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 「ケカビン」(ムコール)と同じ接合菌の仲間であり、早く育って早く死に、ニョーンと伸びて頭ボーンです!が、こいつは更なる特徴を持ちます(属性盛りすぎ)! それは仮根と呼ばれる根っこのような構造を持つこと。その足も褐色の濃ゆーい色したごつい根っこで、これがどこにでも生える…。アイスクリームのカップに入れて置いたら壁にも蓋にもこいつがびっしり生える!まるで重力を無視して生える森のようです。そんな化け物じみた生命力と青~紫のかわいい頭(胞子嚢胞子)を持つ彼にはキモさと可愛さを盛り込みました。

モデル:geotrichum  sp.(ゲオトリカム) \ 命名:ゲオち

 

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 この仲間の一部はカマンベールチーズの作成に用いらているそうです。特徴としては分生子の作り方が分節型であり、菌糸の先端がポコポコポコっと数珠状に分裂し、その一つ一つが分生子になるというような地味な次世代の作り方をするところですかね。僕の持つ印象がこんなものなのでキャラクターもなんかやる気ないです…汗。

モデル:saccaromyces sp.(サッカロミケス) \ 命名:コゥボちゃん

 

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 コボちゃんならぬコゥボちゃん。酵母という言葉はよく聞きますが、これは単一種の生き物を指す言葉ではなく、単細胞で分裂を繰り返す真菌類(二核菌)の総称です。要はニョロニョロ~っていう菌糸を持たない1つのマルポコ細胞で暮らしてる菌類全般を指してます。はい、定義で分かるように見た目つまらんです。ただ出芽と呼ばれる、母個体から子の体がこぶのように生えてきて、これが大きくなって新しい個体になる~というようなかわいい(?)増え方をします。パンを膨らませたり日本酒、ワインのアルコールを生産する発酵で大事な菌がこの仲間ですが、やはり形態的には…地味。。

4、マスコット作成の舞台裏:没案集

 作成は

1、ラフの書き出し

2、コンセプトの決定、案の選別

3、デザインを詰めて清書

の流れで行いました。この工程の中で生まれた没案たちを紹介しますね。

【黎明編:ラフ画たち】

 

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コンセプトすら決定していない頃の落書きたち。遊〇王っぽかったりジョ〇ョっぽい立ち方してたり、ポケ〇ンっぽかったりいろいろ楽しんでますね。(案外おばさんっぽいアスペルギルスキモくてお気に入りです)

 

【没案:発酵家族】

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 コンセプト決定前、有力候補として君臨していたのが発酵家族です。彼ら(?)は各菌の特徴(分生子形成様式)を人の髪型で表現できるのではないか?という着想のもと生まれました。親しみ深く統一感のあるファミリーの形でキャラクター化していこうというコンセプトのもと作っていき、ラボメンからの支持もそこそこあったのですが唐突にイイダが発狂!「こんなの菌じゃねぇだろ!!」(…当然すぎますね汗)。実際この方針だと、菌の特徴を髪型のみに押し込まざるを得ない(他の部分を菌にすると人間でなくなる)くせに、家族のどの立ち位置なのかを示すために服装、顔など菌に関係ない情報をやたら必要とするんです!ゆえに、マスコット内で菌に関する情報の濃度が落ちていく結果になったところが許せなかったんですよね。私は家族のマスコットを描いてるんじゃねぇ!菌のマスコットを描いとるんじゃ!「このキャラがどうして菌なの?」と説明しなきゃわからないキャラクターはマスコットとして意味がないのではないかなという考えも根底にありました。

 しかし、発酵家族を経たからこそ「菌のありのままの可愛さを伝える」というコンセプトを確立でき、メルヘン妖精が誕生したのでした。教訓としてはコンセプトの確立は早期にするべきって感じですね。

 

5、外部からの評価と今後の展望

 リスポンスで印象的だったのは、実際に発酵関係のお仕事をされている方からの

「ゲームの敵キャラっぽいから、もっと無害アピールしてほしい!」

との指摘でした。この指摘で自身のコンセプトの詰めの甘さを実感しました。

 というのもこの祭りは一般向けに発酵の菌を紹介するイベントです。そしてお客さんは一般に、菌に危険(毒性など)なイメージを、発酵食品にはおいしく健康に良いというイメージを相反して持っています。

 本ブースの目的はそんな相反するイメージを持つ発酵食品を繋げることです。そう考えるとマスコットを通じて最優先に伝えるべきイメージは「発酵食品に使う菌は良い(えらい!優しい!)菌!」だったのではないか?そう考えると菌本来の姿にとらわれ過ぎた今回のデザインは不適切だったのではないか?感じています。

 

 今回のお仕事は「菌のそのままの可愛さを保ちつつキャラクター化する」という目標は達成したと感じていて、今後も落書きで書きたくなるくらい愛着の湧くキャラクターに仕上がったと満足しています。しかし、今後このようなお仕事をいただいた際には最初のコンセプト作りのプロセスをより大事にしていけたらなと思います。

*1:菌体を水などの封入液と共にガラスで挟んだもの

今日はあなたとボードゲームを!

皆さまはボードゲームで遊んだ経験がおありでしょうか?

有名どころだと人生ゲームやUNO、人狼なんてのもこの分類に含まれますかね。

要するに

人数をそろえて遊ぶことが前提となるパーティーゲーム

といったところです。

 

僕は学部2、3年にこのボードゲームにドはまりしてしまい、毎週のように友人の家に集まって時間を溶かしていました…汗。

 

こういうとなんだか麻雀みたいでネガティブな印象を受けがちですが、ボードゲーム身近な人との関係を深める上で他にない魅力を持ったツールだと感じています。

それは

 

・誰でもできる

・手軽にできる

・多様な世界観の中で会話を楽しめる

 

の3点です。

 

テレビゲームのようにテクニックが必須な必要なわけではなく初めての人も楽しめ、どこに出かけなくても不思議な世界の中で時間を共有できる。そんな中で見つかる身近な人の意外な一面ボードゲームは予想以上に人との関係を深める力を持っていると感じています。

 

本記事ではそんなボードゲームどう楽しむかに焦点を当て、どう盛り上がるのかを実体験入り交えて書き上げました!少しでもボードゲームの魅力を知っていただき、身近な人との距離を縮めるお手伝いができたらなと思います!

 

 

~具体的な紹介~

評価基準

 ・ゲーム性:高いほど戦略性や交渉テクニックなど勝利への試行錯誤のしがいがあります。自分の力で掴み取る勝利、この味を知ったら、もう眠れませんわ…。

・コミュ度:コミュニケーションの補助としての機能の高さを示します。高いほどゲーム内外の話題を問わず会話がしやすいです。

・雰囲気:ゲームの雰囲気への入り込みやすさ、その中毒性を勝手に評価します。高いほど非日常感がたまらんくなります。

 【紹介】テキトーな脚色を入り交えて各ボドゲの世界観を紹介します。

【基本ルール】ゲームの流れを雑に紹介します。

【個人的な感想】魅力をマシンガントークします。

 

1、カタンの開拓者たち

~ロマンと交渉と競争と…ボードゲームの真髄の詰まった名作ボドゲ!~ 

ゲーム性:   ★★★★★

コミュ度:   ★

雰囲気:    ★★★★★

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【紹介】 

 ビッグドリームを夢に見て、豊富な資源の眠る無人カタン島」に降り立ったあなた。さあ、未踏の地に道を敷き、街を作り、カタン島を豊かに発展させていきましょう!

 しかし、島に降り立った開拓民はあなただけではなかった!カタン島のすべてをその手に収めるのは、最も開拓に貢献したただ一人!熾烈な開拓競争を勝ち抜き、あなたの街をカタン島で最も発展した開拓都市に発展させるのです!

 

【基本的ルール】

・勝利条件:自身の開拓地を、誰より早く規定の発展度(10ポイント)に到達させる。

  カタン島に各プレイヤー2個ずつの開拓地を配置しゲーム開始。自分の番が来たら2個のサイコロを振る。出た目の合計の数が記載されているコマに隣接して開拓地を置いているプレイヤー全員土地に対応した資源カード(木材の5種類のいずれか)が支給される。その後、自分の持つ資源を規定の組み合わせを消費することで、開拓地(1ポイント)、都市(開拓地のアップグレード:+1ポイント)などの建設を行う。この際他プレイヤーと資源交換の交渉をすることもできる。この流れを順番に繰り返し10ポイントを目指す。

 

【個人的な感想】

 まずなんといっても規模が違う!島を一つ賭けて対決するんですよ?!ロマンがたまらんですね!特に交渉は

「ふむ、キミ、がそんなに欲しいのなら羊3枚と交換してあげてもいいよ?」

などと大商人になった気分です。局面が進むにつれ島が賑やかになっていくのもチョベリグです。基本ルールは単純ですが、ルール外の様々な要因がこのゲームの戦略性を引き上げています。

 まず土地に限りがある点で開拓先の土地資源そのものを奪い合うこともしばしば。

 かつ資源の種類によって需要(開発に要求される量)と供給(場に放出される量)が異なる点も興味深いです。よって盤面から需要が高そうな資源をピックアップし、独占することで交渉を有利に進める~なんて戦略もとれます(性格が出る汗)。

 また需要が低くなりがちな羊はしばしば雑に扱われててちょっと面白いです(羊を大量消費して他の資源を得ることを採殺と勝手に呼んでます)。

 このゲームに欠点があるとすれば、ゲームに熱中するあまり、ゲーム外の内容の会話が全く発生しない点でしょうか。 私の場合は学部2、3年の毎週木曜をカタンで溶かしたクズ仲間がいたのですが、カタンの会話しかしていなかったせいで出身地や家族構成、最悪の場合本名まで知らずに過ごしていた…なんてことがありました汗。

 

2、モノポリー

 ~コマに止まると金を奪われる?!対人要素の強いブラック人生ゲーム~

 ゲーム性:  ★★★

 コミュ度:  ★★★

 雰囲気:   ★★★★

 

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【世界観】

「未来は僕らの手の中!おっ、誰も所有していない土地だ!ありがてぇ…。」

僥倖!!カ〇ジ、迷わず投資!

さらに、家を、建てる、建てる、建てる!!その地価は当初の10倍にまで膨れ上がる!

「さぁ、この土地を踏んでみろ、利〇川…。それがお前の最後だ…!」

 

【基本ルール】

・勝利条件:他プレイヤー全員の破産

 何度も同じ道を周回するすごろくです。そして未踏のマスに止まった際にはその土地を購入することができます。その後他プレイヤーが止まった場合、規定のレンタル料を土地の所有者に支払うことになります。こうして自分以外の全プレイヤーを破産(持ち金0)にしたら勝利です。

  また、土地の所有権は他プレイヤーと交換売買することができます。そして土地にはグループ分けがあり、グループに属するすべての土地を所有(独占)した場合、家、さらにはホテルを建てることができ、その土地のレンタル料を数倍に跳ね上げることができます。

  

【個人的な感想】

 イメージとしては対人戦人生ゲームといった感じですかね。他者を蹴落とすという性質状、友情崩壊ゲームと嫌う人もいるので多少人を選ぶゲームかもしれません。(海外では人生ゲームよりもモノポリーの方が一般的らしいのですが、これは日本の争いを好まない国民性に因るかもしれませんね。) 

 しかしこのゲームには大きな強みがあります。それはブラックな経済ネタを盛り込んだシュールな空間を堪能できる点です。自身の破産や他者との圧倒的経済格差など現実世界じゃ笑えないシチュエーションが山ほど起こります。そんな中で繰り出されるブラックなネタの数々。自分の置かれた状況を駆使して場を盛り上げていきましょう!

 また破産が終着点である故にゲーム終盤は脱落者が続出します。が、心配なかれ!まず脱落(破産)する瞬間が面白い。人の世の栄枯盛衰を一身に感じ、美しく散りましょう。そして脱落後は激アツの最終決戦に臨むプレイヤーたちに野次を飛ばしまくりましょう!人狼とは異なり脱落者がおしゃべりに興じれるのは大きなメリットです!

 

 すごろくの目に戦況が大きく左右される故に運要素が強く戦略性に乏しいゲームではありますが、それ故に会話やネタに思考を割きやすく、またシュールでブラックなネタも言いやすい。会話を楽しむという点で非常によくできたボードゲームだと思います。

 

 

3、水道管ゲーム

~明快、シュール、スピーディ!最強の水道管をつむぐのはキミだ!~

 ゲーム性:  ★★

 コミュ度:  ★★★★

 雰囲気:   ★★★★

 

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【世界観】

「わだす、井戸クミコ!平成最後の年も井戸くみ続けるこん村救うため、水道管さ担いで街に飛び出しただよ!だども大変!隣村のおっちゃんさ、おらのつないだ水道管に穴ぽこさ開いた水道管つなげて意地悪してくるだよ!だども、クミコくじけない!ぜってぇ村のみんなにおいしい水飲ませてやるんだから!!」

 

 【基本ルール】

・勝利条件:誰より早く自身の水道管を規定本数までつなげる。

  各プレイヤー、様々な方向に曲がった水道管カードを手札5枚持った状態でスタート。自分のターンに水道管カードを新たに1枚ドローし、方向的に繋げることが可能な水道管カードをがあれば1枚自身の水道管に繋げていく(つまり常に手札は5枚)。最も早く指定枚数(プレイ人数による。10枚前後)に繋げた者に金メダル!(カンタン~♪)。

  ただし気を付けろ!他プレイヤーから自分の水道管に、穴の開いた(漏れた)水道管を押し付けられることがあるぞ!漏れてる間は水道管を伸ばせない。直す手段は同じ形かつ漏れていないカードを重ねることだ。持っていなければ何ターンも足止めを食らうことになるぞ…。

  伸ばせ、己の水道を!蹴落とせ、ライバルを!最強の水道管をつむぐのは君だ!

 

 【個人的な感想】

 とにかく明快!考えることが少ない!1試合が短く、運要素が大きいため戦略性も乏しい!故にだんだん勝敗への執着が薄れ、皆が「どうプレイしたらおもしろいか」に重きを置いたエンターテイナーを目指しだす点がこのゲームの最大の特徴かと思います。

  かつ、皆が妨害を受けながら行き当たりばったりで水道管を繋げるので、どの水道管もあり得ない方向に曲がったシュールな仕上がりになります。このカオスさは妨害で足を引っ張り合った結果が形になったようで、不毛さにいつも笑ってしまします。

 

 お互いボコボコに殴りあってその不毛さに笑いあう。そんな青春のノリを思い出せるゲームかなと思います。頭を使わずテンションだけ妙に上がるので、ボードゲーム会で皆が疲弊した最後の〆におすすめです!

 

4、人生ゲーム

~王道にして最強のコミュニケーションツール!~

 ゲーム性:   ★

 コミュ度:   ★★★★★

 雰囲気:    ★★★ 

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  【世界観】人生という旅路は果てしなく自由であり、人の数だけ道が存在する。そう人々は信じている。自身もまた敷かれたレールの上で踊らされているだけとも知らずに…。

 

 【基本ルール】

・勝ち組条件:所詮人間の価値は金なんですかね

ルーレットを回す!(数字に従って進む…)

コマに止まる!(コマの記述に従う…)

粋がってみても、結局俺だって何かに従って生きてるのさ…

 

【個人的な感想】

 様々なボードゲームに手を出した後人生ゲームに戻ってくると、その特異性に驚かされます。それはなんといっても戦略性の乏しさ!交渉すら生じないほぼほぼルーレットのゲームですからね。

  個人的な解釈として、人生ゲームはコミュニケーション補助機能に特化したボードゲームのように思います。 というのも戦略性を徹底して排し、しかし世界観はリアルでシビア。ゲームに使う脳の容量を意図的に排除した上で繰り出されるリアルな話題へのトス。日常会話へのここまで美しいお膳立てがあるでしょうか。

  子供のころ家にあって、正直薄味に感じていた人生ゲームですが、成長してから魅力に気付けるボードゲームかもしれません。出会いの季節の馴れ初めのお供として、また久々に会った友人との会話のつまみとして。おしゃべりを続けたいけど、あと一歩足りないそんな空気。人生ゲームが一押ししてくれるなんてこともあるかもしれませんね。

 

おわりに

 いかがだったでしょうか。ボードゲームの魅力は誰でもどこでもできる手軽さと、多様な世界観の中で会話に興じれる点にあります。人と不思議な時間を共有することに焦点を当てたボドゲの魅力を少しでも感じて頂けたなら幸いです。ちょっと気になるあの人と。いつも一緒のこの子と。ボードゲームを通じて、あなたと身近な人が距離を少しでも縮めてくれればいいなと願っています!

 

それでは!